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2013.10.23
[インタビュー]
「オリジナルのアイデアを守らせることもプロデューサーの喜びです」―コンペティション『ドリンキング・バディーズ』アリシア・バン・クーバーリング(プロデューサー):公式インタビュー

米インディペンデント映画界で注目されてきたジョー・スワンバーグ監督の新作『ドリンキング・バディーズ』。
本作のアリシア・バン・クーバーリング・プロデューサーにお話を伺いました。
 
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©2013 TIFF

 
――上映後のQ&Aも盛況でしたが、TIFFに参加されていかがですか。
 
アリシア・バン・クーバーリング(以下、アリシア):とても興奮しました。日本に来て何もかも初めての事ばかりで。もうちょっと「ありがとう」って言えばよかった。
英語の台詞が多いので英語圏以外では辛いかなと思っていたんですが、友情と恋愛というテーマには普遍的なものがあるのではないかなと思います。エネルギーが伝わるんでしょうね。
 
――アリシアさんが「この企画はいける」と思ったのもそこですか。
 
アリシア:一番の魅力はジョー・スワンバーグ監督と仕事ができるということでした。彼とはずっと仕事がしたかったので。
テーマについては皆が誰しも共感できる部分であると思います。特に映画に関わっている人たちは、プロなのですけれどもプロではないところがあって、長時間一緒に過ごしているせいで「ショーマンス(ショーだけどもロマンス)」という言葉があるように、恋愛の境界が分からないということがある。結婚したとしても離婚の可能性はあるし、コミットメントがあるといっても「私この人でいいのかしら」と、新しい世代は常に自問している。昔なら結婚してしまえば「それはそれ」だったと思うのですが、この映画ではいつもいつも「これでいいのか」と自問している。そこが面白かったです。
 
――今回の企画にはどのようにして関わることになったんですか。
 
アリシア:実は、ジョーと一緒に他のプロジェクトで働いていたのですが、この映画のキャスティングが始まった頃に、彼が私にアプローチしてきてプロデューサーになったんです。そこからは私が威張っています(笑)。
 
――インプロヴァイゼーション(即興)で撮られた映画です。脚本がなくても企画だけで有名俳優が集まるのがすごいですね。
 
アリシア:マーク・ベネットという『ハート・ロッカー』等を手掛けたキャスティング・ディレクターがいた事もあるんですが、オリヴィア・ワイルドはジョー・スワンバーグの作品を知っていて、オーディションとか関係なくジョーと会って。ジョーが「インプロで映画を作ってみたい」と言ったところ、盛り上がって「なら、私出るわ」となったんです。一体どんな映画に出るのかも分からないで現場に来たのだと思います(笑)。
 
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©2013 TIFF

 
――アリシアさんにとって、この映画で一番難しかったのは何ですか。
 
アリシア:短期間で資金繰りをしなければいけなかったのはすごく大変でしたが、監督のビジョンがはっきりしていると、スムーズに撮影ができるのだということを学びました。脚本もない厳しい状況でしたが、ジョーは「こういう映画を作りたい」というビジョンがすごく明確でしたし、良いコミュニケーターだったので、全員が「自分たちがどんなプライオリティを持っているのか」、「決断する時の基準は何か」を理解してくれましたから。リーダーがしっかりしているとプロセスが楽なのです。
 
――「お金は出すけど口は出さないプロデューサーが一番」だとよく言われますが、ご自分はどういうタイプだと思われますか。
 
アリシア:私はその逆ですね。一緒に仕事をする場合、あらゆることに意見やアイデアがあります。だた、口にする時は「これは私の考えなので従わなくてもいいけど…」と前置きしてから意見を言うようにしています。プロデューサーとしての喜びには、現場が混沌としてきた時に、「3カ月前にこう言ったじゃない!」と思い出させて、もともと抱いていたオリジナルのアイデアを守るというのもありますね。
 

――ジョー・スワンバーグ監督はケイト(オリヴィア・ワイルド)の引っ越し中にルーク(ジェイク・ジョンソン)を殴る男の役でカメオ出演されています。俳優としての活動も続けていらっしゃいますが、アリシアさんから見て、役者としてのスワンバーグ監督はいかがですか?
 
アリシア:ジョーはとてもいい役者だと思います。彼は結構アメリカのホラー映画に出演しているんです。役者としての経験がたくさんあることで、自分が映画を作るときに、役者が何を求めているかを繊細にキャッチできるし、どういう風にすれば彼らが快適に演技できるのかということもよく分かっていて、それを自分ができるという自信もあります。それに、今回はカメラの視線がもうひとつのキャラクターというか、ひとりのパフォーマーになっているとも言えますね。
アナ・ケンドリックが演じたキャラクターは、ジョーの奥さんのクリス・スワンバーグがもとになっている部分が多いのですが、ジョーが演じた役は誰がもとになっているのか…。誰でもないことを祈りますが(笑)。
 

取材/構成:杉谷伸子(日本映画ペンクラブ)
 
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