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2013.10.19
[イベントレポート]
「私がしたことは、諦めなかったということです。」―10/18(金)日本映画スプラッシュ『FORMA』 :Q&A

FORMA

©2013 TIFF

 
日本映画スプラッシュ部門『FORMA』の上映後Q&Aが行われました。
 
日時・場所:
10/18(金) 15:15- @TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン1
登壇者:
坂本あゆみ(監督/原案)、松岡恵望子(女優)、梅野渚(女優)
 
坂本あゆみ監督:本日は暗くて長い映画を最後までご覧いただき、ありがとうございます。この映画を撮ろうと思ったのは6年前で、4年程かけて脚本を完成させました。撮影は2年前に行われましたが体調を崩し、今年の完成となりました。いろいろな方の協力でここまで来ましたが、私がしたことはただひとつ、諦めなかったということです。
坂本あゆみ監督

©2013 TIFF

 
松岡恵望子さん:2年前に撮影した映画ですが、当時のことは自分の身体の中に染み込んだかのように鮮明に覚えています。限界をつくらずに瞬間を捉えて、感じて、生きていこうという思いでカメラの前に立っていました。
松岡恵望子さん

©2013 TIFF

 
梅野渚さん:『FORMA』は、自分にとって大切な作品で、早くどこかで上映されないだろうかとずっと待っていたのでとても嬉しいです。撮影現場で着せられる衣装に対し、身体になじんでいないもので芝居をすることを疑問に思うことが多々ありましたが、この作品では撮影前に役柄の服装について監督と話し合ったりすることができ、自分の役作りを助けてくれました。本当に充実した現場でした。
梅野渚さん
 
『FORMA』という変わったタイトルについて聞かれ、監督は、「FORMAは、フォルム(form)やフォーマット(format)などの、形という言葉の語源のラテン語で、簡単にいうと『本質』という意味があります。この映画では人間の本質を探りたいと思いました。綾子は死んでしまいますが、肉体がなくなっても綾子の存在や憎しみは変わらずにそこに在り続けるという意味での『本質』、ちょっとロマンチックな言い方をすると『魂』という意味でこのタイトルをつけました」と語りました。
 
二人の女性が軸となって描かれている本作品ですが、坂本監督が最初に描き始めたのは男性である長田でした。「最初に重要人物について説明する台本に違和感があり、日常生活において急に登場する人を描きたいと思っていました。物語の構成としては、ぱっとあけたら男がいる、というところから始まったように思います」。登場する男性がみな女性的なのに対し、女性とりわけ綾子はとても男性的です。その意図について坂本監督は、「男性を女性的に描こうと意識していたわけではないですが、世の中のすべての女性が男性に抱いているような嫌悪感だとか憎しみというものをテーマのひとつとして描きたかったので、男性をコテンパンにしてやりたいという気持ちがあったのは事実です!」と笑顔で説明してくださいました。「金城役を演じた光石さんにも、本作で描かれる男性像をすんなり受け入れていただきましたが、この監督はちょっと頭がおかしいとおっしゃっていたというのは聞きました」
 
24分間にもおよぶ倉庫での喧嘩の長まわしのシーンに、観客の関心が集まりました。監督いわく、このシーンには台本がなく、綾子と由香里と長田の生い立ち、性格、設定、どのようにお互いを思っていたか、そしてどのような行動をとってきたかがびっしりと書かれたメモが役者に渡されただけで、全てアドリブで撮影したということです。「非常に緊張感がある撮影現場でした。合計で2テイク撮りましたが、1テイク目がいちばん良く、映画に実際に使ったのも1テイク目でした」
 
由香里を演じた松岡は、「撮影当日は緊張していたが、倉庫の中に入り二人と対面した時には自然とその世界に入っていった。演じているうちに気持ちがどんどんたかぶり、怒りのスイッチを相手に押され反応してしまう、殺意という感情に達してしまうことをあのシーンで実感しました」と語り、綾子役の梅野は、「台本をもらった時には長まわしのアドリブを不安に思いましたが、終わってみると逆にセリフがあった方が難しかったのではないかと思います。自分が綾子でいさえすれば大丈夫、綾子になりきることを目指すしかない、という思い」で挑んだそうです。
「エンドロールの曲が見る人の感情を左右したり、邪魔をすることがないように」と曲無しの印象的なエンドロールで終わります。
 
日本映画スプラッシュ
FORMA
FORMA

©kukuru inc.

監督:
坂本あゆみ
 
キャスト:
松岡恵望子
梅野 渚
ノゾエ征爾
光石 研
仁志原 了

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