10/24(木)日本映画スプラッシュ:『サッドティー』:Q&A
『サッドティー』の上映に続き、本作品の監督および出演者によるQ&Aが行なわれました。
日時・場所:
10/23(月) 15:00~ @TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン3
登壇者:
今泉力哉(監督/脚本/編集)、市橋浩治(プロデューサー)、青柳文子(女優)、内田慈(女優)
まず初めに、プロデューサーの市橋氏が作品の制作経緯について、「ENBUゼミナールは、1998年から始まった俳優と映画監督の養成学校です。この映画は、今年で第二弾の CINEMA PROJECT という企画から作られました。二人の若手監督とこれから世に出ようとしている俳優を集め、劇場公開を目指した映画を作るワークショップです。18名のワークショップで今泉監督が組みたい9名を選び、ワークショップをやりながら脚本を作っていきました」と話しました。
今泉監督は、もともとENBUゼミナールで三年半程、社員として働いていたとのことです。「自主映画やインディーズで撮っていたのですが、ENBUゼミナールの一年コースの様々な監督の授業に潜り込んで勉強していました。そうして商業映画を少しずつ撮れるようになり、今は講師として呼んでいただいています。第一弾のCINEMA PROJECTは、劇場公開も成功していてDVDにもなっているのでプレッシャーがあり、それに負けないものをという意識で作りました」と、監督は企画参加の経緯を話しました。
脚本を書くのは役者に会ってから、という監督。「自分はこのテーマでこういうことを伝えたいというのがあまりなく、基本的には役者が生き生きしていれば面白くなると思っています。今回も、ちゃんと好きかどうかわからない、という軸は自分で設定しましたが、アイディア自体は役者さんに会ってから書きました。役柄と、演じる俳優をリンクさせている部分はあります」
タイトル『サッドティー』を選んだ経緯について聞かれ、「もともとタイトルには非常にこだわる方で、さんざん迷い、何度も変わって最終的に『サッドティー』になりました。劇中で、特に象徴的にお茶を飲んでいるわけではないのですが、言葉の響きが気に入っています。いちばん気に入っていたのですが、お客さんが入らないからやめた方がいいと言われたのは『暇と退屈』というタイトル。今泉テイストを知っている人ならともかく、一見さんは『暇と退屈』という映画をわざわざ見に来ないだろうということでボツになりました」と監督が言うと、市橋氏が、「編集中もずっと悩んでましたね。実は東京国際映画祭にエントリーした後にも変えると言いだして、それはやめてくれと伝えました」と付け加えていました。
市橋浩治さん(プロデューサー)
作品の中の会話がとても自然なため、アドリブがどれくらいあるのかと問われた監督ですが、セリフはほとんど台本に書いてあるとのこと。「アドリブは、台本のセリフが終わったあとに撮り続けた時くらいです。僕は芝居っぽい芝居が好きではないので、いま話しているようなテンションで芝居をしてほしいというのは、意識にあります」
今泉監督と作品を作るのは2回目という内田滋さんは、「以前、ドラマを1話分撮ったのですが、その時は、筋は決まっているけれど、遠回りしてもいいし近道をしてもいい、という撮り方でした。今回はシーンをきっちりと作り込んでいたので、違う一面を見ました」と言い、タイトル変更についても触れました。「家にタイトルが何度も変わった台本が何冊もあり、最初のタイトルは思い出せません!」。このコメントを受け、監督は、「書き終わってない段階で渡しているので、何稿にもなってしまうんです。当日に渡している部分もあるし、毎回ぎりぎりになってしまう。役者さんはちゃんと準備をしたいと思うので早めに渡したいんですが、書いて一週間もすると、これつまんないなって飽きちゃうんです。脚本でも現場でも編集段階でも常に更新していて、極端にいえばシーン自体も入れ替えたりしています。もっといけると思って、完成するまで、面白くしたい、という思いがあります」。すると青柳文子さんが、「最初の脚本には、私が海で柏木に向かって、このゲボ野郎!というセリフがあって、実はちょっと練習していました。楽しみにしていたんですが、当日になってなくなってしまいました」と話してくれました。
左から青柳文子さん(女優)、内田慈さん(女優)
現在、今泉監督は、”DROP CINEMA FESTIVAL 2013 AUTUMN“にて10月27日公開の30分のサイレント映画『夏風邪』を編集中、ということです。
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『サッドティー』